田母神俊雄前空幕長の「論文」とやらを、APAグループのホームページからダウンロードして読んでみた。あまりのレベルの低さに唖然とした。これが我が国を守る航空自衛隊トップのレベルなのか。

そもそもこれを「論文」と呼んでいいものやら。普通こういったものは「エッセイ」と呼ぶのではないか。思いついたこと、単なる自分の信念をひたすら書き連ねているだけ。引用している本も、いわゆるその手の本ばかりである。小林よしのりの漫画を読んでいっぱしの論客になった気分でいる若者と何ら変わらない。大学生の卒業論文でももうすこしましではないか。防衛大学に卒業論文はなかったのか。百歩譲って「論文」だとしても、これはトンデモ論文なのである。

このひとの考えは、いわゆる対中戦争、対米戦争すべてが「陰謀」であり、日本は被害者であるというものだ。しかし、「陰謀論」を展開すればするほど、その陰謀にはめられた旧日本軍のおバカぶりを強調することになってしまうのだ。「だまされるおまえがアホなんや」と言われればそれまでであり、行き着くところ仕返しをするしかないである。すべての陰謀論の弱点である。

こういうエキセントリックな人間が制服組のトップであるということが、我が国のまともな防衛論議を妨げていることに、ご本人は気付いていないのではないか。一民間人となってどんどんトンデモ話を聞かせてください。