メディアをよむ

日々メディアから流れるニュース、情報について思うところを記します。

2005年09月

朝日の記事ねつ造事件(2)

私が現役記者だったころの大手3紙の記者の特徴は以下の通りである。西日本での話なので東京管内とは当然違う。また、それぞれ個性があるので全てがそうとは言えないが、おおよその傾向はあった。

読売…大阪読売という、東京とは別組織である。黒田清氏の「黒田軍団」で名をはせたように社会部が強い。記者もサツねた大好き、事件事故が起こると生き生きしている。個人的にも面白い記者が多い

毎日…まじめでいい人が多い。朝読、地元紙比べて圧倒的に待遇が悪い。記者の数も少ないので、細々とした仕事をたくさんする必要があり忙しそう

朝日…上記2社に比べるとエリート意識は強い。若手の目は完全に本社を向いている。長野支局の記者も、東京の政治部に認められたかったのだろう。

記者の間では当然スクープ競争がある。抜きつ抜かれつ、毎朝他社の紙面を開ける緊張感は、記者の醍醐味ではある。

ある時、我々が某市役所のことで抜いたことがあり、書かれた役人が記者クラブまで文句を言いに来たことがあった。そのとき「書かれて当然。おたくらが悪い」と我々の味方になってくれたのは、朝日の記者であった。こういう、正義感のある尊敬すべき記者も朝日にはたくさんいるのだ。

反対に誘導尋問的な質問が得意なのも朝日。何も知らない田舎の人は、この手の質問にすぐひっかかる。上の記者とは別人だが、あるときやたらこの手の質問をする記者がいて、「なんか書きそうだな」と案じていたら、翌朝きっちり大きな記事になっていた。このときは「こんな卑怯な手を使ってまで記事を書きたいのか…」と怒りがわき、書かれた当人を慰めに行った思い出もある。

結論。社内で認められて出世するというサラリーマン記者にとって、上司に気に入られる記事を書こうとするのは当然。デスクや局長クラスが、事実か否かを再確認することなど、事実上不可能(そんなことをするのなら末端記者は要らない、ということになってしまう)。「おれはいつまでもこんな田舎にいる記者ではないんだ」という意識が強すぎるのが問題なのだ。

しかし、この意識があるからこそ、記者クラブを飛び出してスクープを取ってくることができる面もある。ん、結論が出ない…。なぜ、朝日だけが…。わからん!

 

朝日の記事ねつ造事件(1)

朝日新聞長野支局記者が、田中康夫新党に関する記事をねつ造したとしてクビ、社長も新聞協会会長を辞めるなどして、一応決着した。

サンゴ落書き事件をはじめ、朝日では定期的にこの種の事件が起こる。今回の社長の会見でも「朝日の構造的問題」云々を述べていた。私は、朝日社内のことはよく知らないが、かつて地方紙の記者をしていたので朝日をはじめ大手紙記者とのつき合いもあった。そのときの各社の「色」は確かにあった。

そもそも、大手紙の記者にとって、地方支局というのは新人がまず配属される修行の場である。ここで上司である支局長らから新聞記者のイロハを習う。元読売の大谷昭宏氏のように嫁さんまで見つけてしまうことはよくある話だ。

彼らは当然、地方支局にいつまでもいたいとは思っていない。本社から認められて、東京や大阪に帰りたいと思っている。新聞社に限らずどんな仕事でも一緒であろう。新聞記者が実力を認められようと思えば、スクープ記事を書くことである。政治部や経済部の力が大きい東京は別にして、大阪はやはり社会部である。全国版社会面に取り上げられる記事、できれば社会面トップを取りたいというのが願いである。今回事件を起こした朝日の記者は「功名心があった」と、ねつ造理由を話していたようだが、功名心を持つのは、記者なら当然の感覚である。

と、まあ、ここまでは一般的な話である。なぜ、この手の事件が朝日に集中しているか、が問題である(勝手に問題にしているが…)。これについては、引き続き明日触れてみたい。

米国のハリケーンに思う

米国のハリケーン「カトリーナ」が甚大な被害を引き起こしている。市長は「死者が1万人を超えそうだ」と発言している。地元からは、ブッシュ政権を糾弾する声が高まっているという。これが世界一の超大国の実情である。

いささか左翼的な論調になるが、今回の惨状を見て「抑圧」「被抑圧」という言葉を想起した。世界、特にイスラム諸国から見れば、米国という国はれっきとした抑圧者であろう。たとえ、当人が「独裁者からの解放」「民主主義を広める」と大義を掲げても、だ。早い話が「おせっかい」なのである。

そして、今回我々が知ったのは米国国内でも「抑圧」「被抑圧」という関係が、いまだ存在しているということだ。避難する車もない、あってもガソリン代が高くて払えない、といったアフリカ系を中心にした貧困層が、これほど多いとは…。民主主義大国といっても、彼らの声を届ける仕組みはなかったということなのか。

それにしても情けないのが、外国の問題を伝える我が国メディアの貧困さだ。日本人なら日本人なりの視点でこの問題に切り込んで欲しいのだが、すべてが「CNNによると…」「ABCでは…」「地元新聞の報道では…」ばかり。それならCNNの日本語サイトを見た方がよっぽどてっとり早いというものだ。

http://www.cnn.co.jp/hurricane/CNN200509060008.html

 

 

政治をだめにする公明党

公明党というのは変な政党である。各種世論調査の政党支持率ではいつも横ばい。つまり創価学会員以外はいつも誰も支持せず、創価学会員は何があっても支持している、という政党である。世の中に何が起ころうが、常に30〜40議席が公明党の指定席となっているのだ。

この政党の存在理念は「与党である」ということ以外に、今や見い出せない。自民党でさえ野に下る選択肢が現実味を帯びているなかで解散に打って出たのに、である。公明党の冬柴幹事長は「民主党が第一党になれば連立も考える」旨の発言をして物議を醸したが、このときの大義が「政治の安定」である。自民党と連立を組んだときも同じ大義であった。誰もあんたにそんなこと頼んでいないってば!

誤解を恐れずに言えば、有権者は政治の安定など望んでいない。ある種不安定になって、結果として政界再編成を期待している。その方がすっきりするのだ。その望みを、頼んでもいない大義で壊しているのが公明党ではないか。

英国の自民党やドイツの緑の党のように、第三党がキャスティングボードを握ることはよくあることで、それ自体は否定しない。しかし、緑の党などは、連立離脱をちらつかせるなどして、自党の主張がを実現しようとする。公明党がキャスティングボードを握るとすれば、どちらかといえば考え方の近い民主党と組む方がまだすっきりする。

そこで提案。民主党が今回の選挙で負けることになれば、野中広務前自民党幹事長を顧問に迎え入れ、徹底して公明党叩きを展開するべきである。

自民党が過半数?

朝日、日経両新聞、共同通信社の総選挙の獲得議席予想を読んだ。概ね自民党が単独過半数、民主党議席減といった傾向は共通している。

もっとも、戦況は1週間でひっくり返ることはよくある。楽勝といわれた陣営の気が緩み、苦戦している候補が引き締まって一気に逆転というケースは、私もかつて選挙を取材した経験があるが、実際この目で見てきた。

この傾向が投票日まで続けば、小泉首相の作戦勝ちということになるだろう。民主党にとっては、郵政民営化の中途半端さが旧自民党「守旧派」との差をなくし、有権者に清新なイメージを与えられなかった、ということになるだろう。同党が郵政問題で勝機を見いだすなら、「小泉・竹中民営化案は骨抜き。我々は徹底した完全民営化を実行する」というしかなかったのではないか。もっとも支持労組のことを考えれば、こんなことは言えないだろうが…。

過去には中曽根元首相や野中広務を引退に追いやり、今回は亀井静香や綿貫民輔といった「大物」を追い出し、橋本元首相も引退である。これは確かにスゴイ実績であり、「自民党をぶっ壊す」という姿勢はある程度貫いている。民主党の岡田代表とは迫力が違う。

総選挙を「首相選び」だと位置づければ、小泉さんという特異なキャラクターに対抗できる政治家はそういない。かといって自民党の後継者に誰か魅力的な人物がいるかと言えばそうでもない。民主党さん、あと1週間頑張って下さい。

 

マニフェストは目標管理制度

総選挙たけなわである。先日21世紀臨調が各党のマニフェストについて評価していた。

http://www2.asahi.com/senkyo2005/news/TKY200508260330.html

与党の実績評価については、各種シンクタンク・団体によってばらつきがあった。今回の選挙マニフェストについては、おおむね「民主党は詳しくよくできている」「自民党は実行可能性が高い」というものだった。

これはどこかで聞いたような話だと思ったら、「政党版目標管理制度」ということなのだ。民主党は高い目標を掲げている分、達成度は100%を超えることは難しそう。反対に自民党は手頃な目標を掲げて達成度を上げ、評価を高める可能性が高い。

企業内の目標管理制度は、曲がり角に来ている。まさに自民党的な低めの目標を掲げた方が、やる気満々の民主党的な目標を掲げるより、達成度で評価されれば、評価が高くなるからだ。ここのバランスが人事評価の難しいところでもあるわけだ。各企業では、上司と部下が摺り合わせをしながら目標設定を行うなど、様々な工夫を施している。

さて、目標を掲げて仕事をする「部下」が政党なら、評価を下す「上司」は有権者ということになる。上司たる有権者は、部下の目標達成度を評価するだけでなく、目標設定そのものにも目を光らせなければならない。あまりに高い目標を掲げている「部下」に対しては、「もう少し達成可能な目標にしよう」と、手頃な目標を掲げている「部下」に対しては「その程度の目標を達成しても評価しないよ」忠告する義務があるのではないか。もっとも小泉さんも岡田さんも、人の意見に耳を傾けそうにないが…。

 

また那覇出張

明日から、また那覇出張である。

前回はベンチャーズやらオールディーズやらを演奏しているお店に行った。誰が客で、誰がミュージシャンで、誰が店のスタッフかわからない、わけのわからないけれど大変楽しい店だった。東町にある「ライブステーションG7」である。是非もう一度訪ねてみたい。

面白いお店は沖縄市の方が多いようだが、そこまでタクシーを飛ばすのももったいない。たまっている仕事もあるのだが、それは忘れて那覇の夜を楽しみたい。

かつてはミュージシャンを輩出する地方と言えば、福岡が定番であったが、最近は沖縄勢が元気。ベンチャー企業もたくさん誕生しているようだ。沖縄の元気を少しでも持ち帰りたいものだ。

 

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