フジとライブドアの「闘い」は、今のところ小康状態を保っているようだ。
ここで注目すべきは、これまでの世論の反応だろう。

一般国民=堀江支持、ジャーナリスト、メディア関係者=フジ支持といったところが、おおざっぱな反応ではないだろうか。

フジサンケイグループを始めメディア関係者は、このところを深く考えなければならないのではないか。
折しも、今は春の番組改編期で、民放テレビ各局は特番の花盛りである。
1年を通じて、春と秋のこの時期は、民放が最もくだらなくなる時期でもある。
タレントとは名ばかりで、才能も何もない芸能人がやたら騒いでいるだけの特番を見せられて頭が痛くなる。
最もこれらの番組には全く関心がないので、BSか、スイッチを切っている。

また、私はお笑いが好きなので、演芸番組、お笑い番組をよく見る。しかし、東京キー局の番組に見られる、わずか数分のコントのために作られる大がかりなセットを見ていると、ネタのおもしろさより、「こんなすごいセットいくらかかるのだろう」「これが終わればゴミ箱行きか」などと、いらぬことばかり考えてしまう。

さらに待遇の問題もある。
ライブドア社員の平均年収500万円少々、ニッポン放送1000万円超、フジテレビ1500万円超。平均年齢がだいぶ違うことを考慮しても、どちらが一般国民の感覚に近いかは、明らかである。ちなみに私がいた地方紙も、40歳を超えると、額面は軽く1000万円を超える。
スポンサーは厳しいリストラにさらされているのに、それらスポンサーの広告で支えられているはずのメディアは、湯水のごとくお金を使う甘えきった体質。
もっとも、社員は有名人のご子息がゴロゴロいるので、金はたいした問題ではないという週刊誌の報道もあったな。

「メディアは社会の公器」「ジャーナリズムの使命」云々を偉そうに説かれて「おっしゃるとおり。金で電波を買おうとする堀江は悪いやつだ」と、思う視聴者がどれだけ居るのか。
「給料が下がるのがいやなだけでしょ」「六本木や銀座で接待費が使えなくなるのが困るんでしょ」。多くの国民は、そう感じているのではないか。今の民放(東京キー局)のあまりの節操のなさ、胡散臭さに、フジを応援する理由が全く見いだせないのだ。

「構造改革が必要だ」「既得権益の破壊せよ」…。他社、他業界への批判はいくらでもするが、電波法と再販売価格維持制度に守られて最も閉鎖的な業界がメディアである。多くの国民は堀江氏を通じて、薄々感じていた様々な不満、不公平感をメディアにぶつけている気がしてならない。