ブログを始めようと思ったその日、桂文枝が亡くなった。
74歳、早すぎる旅立ちである。
私は、落語が大好きである。学生時代は落研にも所属していた。
現在もそうだが、関西に住んでいるので、
生で聞くのも、演じるのももっぱら上方落語である。

文枝の落語は、昔は正直あまり好きではなかった。
もっちゃりとしたしゃべりが「疲れるな」という印象だった。
それが、小文枝から文枝を襲名した頃から、大好きになった。
彼の落語ワールドに身を任せていると、何とも幸せな気分になるようになったのである。
声、しゃべりのリズム、はめもの…すべてをひっくるめて文枝ワールドに連れて行ってくれる、客である私は、じっと身をゆだねていればいいのであった。
女性を演じて定評のある師ではあったが、アホ(喜六)の出てくる軽い話が、何ともおもしろかった。

そして何より、師の功績は、そうそうたる一門を育て上げた力量ではないか。
弟子を育てるうまさでは、故六代目松鶴と双璧であろう。
もっともっと楽しい噺を聞かせてもらいたかった。
合掌。